双極性障害の特徴と自分の意思との類似について

双極性障害は躁と鬱を繰り返す.

 

自分に当てはまるものとして,

躁状態

・気分の著しい高揚

・誇大性、誇大妄想

・寝ないでも平気

・色々な考えが頭の中にあふれてくる

・すぐに気が散る

・活動的になる、じっとしていられない

 

鬱状態

・一日中気分がゆううつで、淋しい、悲しい、あるいは空虚な気持ち

・何事にも興味がもてない、楽しめない

・食欲がなく、食べてもおいしくない。体重が減る

・夜眠れず、暗いうちから目が覚めて眠れない

・動作がゆっくりになってしまい、考えも進まない

・落ち着かずじっとしていられない

・疲れやすい

・自分には生きる価値がないと思い自分を責めてしまう

・集中できない。決断力がなくなって物事が決められない

・自殺を考える

(参照:躁うつ病の手引き)

 

がある.

 

この症状を考えていて,僕の記憶とその時の感情を絶対に忘れたくないという気持ちはかなり相性がいいんじゃないかと思った.

 

人というか生きものはつらすぎる記憶や感情を防衛として忘却することがあるらしい.

私は忘れまい。今日見た景色を、聞いた話を、忘却の向こう側へ押しやられようとしていることたちを、あなたが忘れるのなら、私は記憶に、記録にとどめよう。

この文章は,『海を撃つ』という東日本大震災についての書籍にあるものだ.僕はこの本を手にした時,この文章にとても感銘を受けて,それからずっと胸の中にとどめている.僕も忘れたくないのだ.過去にあった記憶と感情を絶対に忘れたくないと思っている.それを忘れてしまったら,同様の環境に置かれた人のことをおそらく考えなくなってしまうだろうから.

 

双極性障害鬱状態は常にマイナスのことを考えている.僕は基本的に過去の記憶といま生きていることの諦念について考えていることが多い.それも根が深いというか,どこまで行っても救いようのないくらいに考えている.

 

そのことと,僕の過去を忘れたくない気持ちはその実体験を身をもって再度経験するのにはとてもよい状況であることに気がついた.

双極性障害は一生治らない病気と言われているけども,一生治らないことは僕にとっては好都合で一生過去を忘れない,その気持ちを最後まで貫き通せるんじゃないかと思った.

このことに気づくと,なんだか心が軽くなった.

いつか忘れてしまうんじゃないかと思うことが,あらゆる恐怖の中でいちばん怖かった.その恐怖がなくなったからとてもほっとした.

 

僕なりの病気との付き合い方を見つけられたのかも知れない.

 

オオカミの遠吠え

先月,初めて精神科へ行き,そこで双極性障害と不安障害と診断された.

 

不安障害は色々な不安に対して過剰に反応するようになっている状態のことのようで,治療対象は双極性障害となった.

双極性障害の治療は,病院では薬での治療,あとはカウンセリングだった.2回目の通院時に薬を受け取るだけの診察とおそらく躁状態だったのだが褒め続けられ,好転してからもそのことを伝えに来てくださいと言われたカウンセリングに違和感があり,通院をやめた.

私が双極性障害であるのは,おそらく元からそのような気質であることと,それを助長/増幅するような過去の経験が関わっているような気がした.

一生薬を飲み続けなければならず,一生そのために採血と診断,カウンセリングを行わなければいけないことに,少しの疑問を抱いた.

結局のところ,向き合うべき過去と向き合ってゆかなければならないんじゃないかと思った.

 

通院をやめてから双極性障害について色々と調べてみた.

 

YouTubeでの解説の多くは,

・感情の起伏がコントロールできない

・感情の起伏が大きいため,落差も大きくなるゆえに身体への負担が大きい

・躁と鬱の転換時に自殺率が高い

・基本的に治る病気ではなく,一生薬を飲み続ける

・薬の副作用は大きい

・薬の処方のために定期的な採血が必要

双極性障害の患者さんは薬をよくやめる(躁状態の時にもう大丈夫だと思い込むため)

あたりが多かった.

 

まったく意識していなかったのだけど,感情の起伏が大きいために身体への負担が大きいということにはっとした.今までいつの間にか動けないほど疲弊していたのはこれが理由だったことに気がついた.

 

YouTubeの解説だけだと,どうすればよいのかがわからなかったので,本を読み始めた.巷の双極性障害の本では書いてある内容がYouTubeと大差がないので,双極性障害の方が書いた本がないかを探した.

 

見つけたのが,『躁鬱大学』(坂口恭平)という本だった.

 

双極性障害との向きがい方が神田橋語録という資料を通して書かれている.

 

読んだところまでで大まかに,

双極性障害は病気というより体質であること

・少しでも窮屈を感じたことから離れること,やらないこと

・自分がやりたいと思ったことだけをやること

鬱状態になった時は双極性障害そのものについて思考すること

などが書かれている.

 

この本は双極性障害以外の人にもおすすめできるというレビューが多いのだが,自分の行きたいところへ行き,やりたいことをやるというスタイルが心の安寧につながるという話のためだと思う.

文体の好みや著者との相性もあると思うのだけど,双極性障害との向き合い方を学ぶには全体的にとてもよい本だと思う.

 

また,この本を読みながらいちばん勉強になったことに,巷の啓発本,こうすればうまくいくなどの本は基本的に双極性障害ではない人たちに向けて書かれた本なので,双極性障害の人にはまったく合わないことが多い,ということがある.

危うく試行錯誤を繰り返した挙句に何も得られることができないみたいな状態になるところだった.

 

双極性障害はそもそも体質であるので一生治らないことは当然なのだけども,どう向き合ってゆくかは考えることができるし色々とやってみることができることを知れただけでもかなり救われた気持ちになった.

 

その中でもまだ不安な要素として残っているのが,大学生活,そして卒業までのことだった.

前置きが長くなってしまったけれど,このブログは双極性障害と向き合いながら通信制の大学卒業までの記録としようと思う.

双極性障害がそもそもかなりマイナーな病気らしいのだけど,そのせいか大学生活において参考になりそうなモデルが見当たらなかった.また,通信制となると人との関わりが必須らしい双極性障害との相性が悪いらしく,これもまたモデルが見当たらなかった.

このブログは私自身が振り返りを行うための材料であり,また,一つの事例としても参考になればと思い書き残してみる.

そもそも卒業できるかが現在の不安ではあるのだけれど,趣く場所へは全力をかけながらやってゆこうと思う.